(写真提供:Photo AC)
現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。本作の主人公は、天下人・豊臣秀吉の弟である豊臣秀長です。歴史の教科書にも載っていない彼は、いったいどのような人物なのでしょうか?今回は、書籍『図解 豊臣秀長』をもとに、歴史研究者で東大史料編纂所教授の本郷和人先生に解説をしていただきました。

美濃の鵜沼城攻めを買って出た秀吉

永禄7(1564)年、足軽百人組の組頭に出世した秀吉は、犬山城主の織田信清を攻略するため、斎藤方の武将で信清に味方した大沢次郎左衛門が城主を務める美濃の鵜沼城攻めを買って出ます。信清は織田家の中でも信長と同じ一族(織田弾正忠家)で、浮野の戦いでも信長に味方しましたが、織田伊勢守家の旧領の分配をめぐって信長と対立していました。

常識的に考えれば分不相応で無謀な挑戦でしたが、信長はこれを許可し、足軽三十余人と馬5頭を贈って門出を祝ったといいます。この戦いが、秀長の初陣ということになります。

秀吉と秀長は、蜂須賀小六や前野長康(川並衆の前野家当主)の配下の者たちを糾合して松倉城へ入った後、秀吉は鵜沼城へ、小六たちは鵜沼城の支城・伊木山城の伊木清兵衛を寝返らせて犬山城攻略の足がかりとするために伊木山城へ向かいました。清兵衛は小六たちの説得に応じましたが、このときに「木下藤吉郎(秀吉)という織田方の武将はまったく知らぬ」といったといい、この頃の秀吉がいかに無名だったかがうかがわれます。

秀吉軍の攻勢に、次郎左衛門は鵜沼城を開城しました。