書家の根本知さん。直筆の「東依」の掛け軸の前で(撮影:本社・奥西義和)
NHK大河ドラマ『光る君へ』で題字と書道指導を担当した、書家の根本知(さとし)さん。2025年2月公開の映画『木挽町のあだ討ち』でも本編挿入題字を揮毫している。
教鞭をとるカルチャーセンターの「かな文字教室」は常時満員御礼、何十人も予約待ちだという人気ぶりだ。そんな根本さんが仲間とともに「東洋文化を五感で味わう」ためのスペースをオープンしたそうで……(取材・文:婦人公論.jp編集部 撮影:本社・奥西義和)

東洋思想の依り代として

東京メトロ丸の内線御茶ノ水駅から外堀通りに出て、神田川沿いを西へ。

対岸でJR中央線と総武線の電車がせわしく行きかう様子を眺めながら、聖橋を越えしばらく進むと、カフェギャラリー「東依(とうい)」がある。

漆喰調のダークグレーの壁が目を引く外観

どっしりした木の扉を開けると、書家の根本知さんが出迎えてくれた。

2024年に話題になった大河ドラマ『光る君へ』。その題字は根本さんの作品だ。のびやかで繊細な文字を記憶されている方も多いだろう。

ドラマでは、紫式部を演じた吉高由里子さんをはじめ、キャストがかな文字を書く様子が話題になったが、その書道指導を担当。現在は立正大学文学部特任講師を務めるかたわら、かな文字教室や東洋文化の発信を行っている。

店内を案内してもらいながら、東依を立ち上げた狙いを聞くと……

「東依の名前の由来は、東洋思想の依り代(しろ)です。お茶と和菓子を味わえる喫茶室、東洋文化を学べるサロン、東洋美術を楽しみ、購入できるギャラリーを兼ねています。大河ドラマ『光る君へ』での指導が決まったころにそんな空間を作りたいと考えていたら、知り合いの方からこの物件を紹介されたんです。一人ではとても運営できないので、ウェブデザイナー兼カフェオーナーの木口和也さんや美術商の齋藤達彦さんにお声がけして、今のかたちになりました」