お笑いコンビ・空気階段として活躍する鈴木もぐらさんの思い出のそばには、いつも「うまい飯」があったそうです。そこで今回は、鈴木さんが食に対する探究心と愛を凝縮したエッセイ『没頭飯』から一部を抜粋し、食を通じて鈴木さんの人生に迫ります。
母と怒りとポークソテー、三位一体の味
母親はちょっとイライラしたら、
好きな食べ物を食いてえって口に出す癖があります。
「あああっ! にんじんのポークソテー食いてえな!」
という感じです。「にんじん」っていうのは、実家から歩いて5分、マスターがひとりでやってる小さい洋食屋「グリルにんじん」のことです。洋食屋というか喫茶店みたいなたたずまいで、入って右側にカウンター、左側に4人掛けのテーブル席が3つありました。もうお店はなくなっちゃったんですけど、月イチぐらいで行ってましたかね。