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世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、50代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第61回は「今日、行ける?のありがたさ」です。

前回「あいづちの正解は「はい」か「うん」かミックスか。社会人になってから受けた3回のご指導で考えた」はこちら

予定は「今」立てる

中年の心を腐らせないための予防策として挙げたいのが“外出”。座業を生業のひとつにして、年嵩を増していくと頓に感じるのが(いや性格かもしれない)、出かける面倒さで、メイクもしたくない、ゴロゴロしていたい。今は出かけなくても運動だってできるし、食事も宅配で簡単に運ばれてくる、ネコ型ロボットの世界。サブスクを使えば1回分の映画料金以下で、映画もドラマも心ゆくまで観られる。半径2メートル以内で、すべての娯楽が集約できる時代なのに、自宅から出る価値はあるのかと思うが、やっぱりある。外出すると、家族やパートナーとこもる時間ではえられない充足感がある。おばさんこそ、出かけよう。

ただ問題はいつ、どこに、誰と出かけるのか。

私の場合だと、風来坊のような落ち着きのない仕事なので、なかなか普通の社会人の友人たちと約束を決めるのが、ちと難しい。そんなときに救ってくれるのが、突発的なお誘いだ。

「今夜、何してる? ごはん行かない??」

曜日にかかわらず、17時を過ぎたあたりから、私の元にこんなLINEが時折届く。送ってくるのは、フリーランス、テレビ局、ラジオ局、芸能事務所のマネジャー……といわゆる業界人の面々で、私もその端くれだ。皆、オフィスはあっても出社、退社時刻も決まっていないし、深夜まで働くのはデフォルト。仕事で突発的に動くパターンも多いし、もちろん休日も決まっていない。突発的な打ち合わせ、原稿の修正、取材時間の変更とスケジュールは簡単に崩される。でもこれも“慣れ”で、自分がドタキャンをするのも、相手にされるのも許容範囲。

そんな理由からダメ人間と表裏一体の時間軸で動く我々の合言葉は「今日、どう?」。待ち合わせをする店を出し合って、呑んで、食べて、しゃべって、また戦場に戻っていく。この生活にも慣れきったので、今さら変える予定もないし、この偶発によって生まれた関係性やアイデアはいくつもあるので、私にとってはインフラのようなもの。そして外出の決断をさせてくれる、友人、知人たちにいつも感謝している。ありがとう、おかげで体はガタついても、心の鮮度はキープしていられる。