連日続く猛暑の中で、水分補給は十分にできていますか? 水分不足の原因は、流れ出る汗だけではありません。特に気をつけたいのが、食欲の低下から起こる「食事由来の水分不足」です。厳しい夏を健やかに過ごすための水分補給のポイントを、臨床栄養の専門医に伺いました。(構成:浦上泰栄)

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夏の水分補給というと、「こまめに水を飲む」ことを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、暑さで食欲が落ちると、食事から摂る水分や栄養も不足しがちになります。水分不足を防ぐには、飲み物だけでなく、毎日の食事も意識することが大切です。

「夏場は汗を多くかくため、いつも以上に体内の水分が失われやすい季節です。さらに年齢を重ねるにつれて、水分を体内に蓄える機能も低下していきます。日常生活の中で、意識して水分不足を防ぐ対策を心がけることが大切です」

こう語るのは、臨床栄養の専門医として、済生会横浜市東部病院で診察や健康指導を行っている谷口英喜先生です。

「まずは基本の生活習慣から見直しましょう。昼間の直射日光が強い時間帯は、屋外での活動を控えるか、適宜、涼しい場所で休憩を取るようにしてください。買い物や散歩に出かける時は、日差しの和らぐ朝や、夕方の比較的涼しい時間帯を選ぶといった、無理のない工夫が健やかな毎日につながります」と谷口先生。

また、水分をたっぷり摂ろうとして、一回の水分補給で、一気に水を飲んでしまうのは好ましくないのだそう。

「一度に大量の水を飲んでも、そのほとんどが吸収されないか、吸収されても尿として体外に排出されてしまいます。水分補給で大切なのは、こまめに飲むこと。朝起きた時、午前10時、午後のおやつ、そして入浴前など、一日の生活リズムに合わせて8回くらいに分けて飲むのが上手な方法です。コップ一杯の水を1日に複数回飲むことで、無理なく全身に水分を行き渡らせることができます」

夏場は暑さでどうしても食欲が落ちてしまいがちですが、実はその「食欲の低下」が、「水分不足を加速させてしまう大きな原因になります」と、谷口先生は警鐘を鳴らします。

「私たちはふだん、意識せずに三度の食事から多くの水分を得ています。その量は1日に約1500mLといわれ、単純に計算すると、一食あたり500mLの水分を食べものから摂取していることに。起きたては食欲がわかないと言って朝食を抜いてしまう方がいますが、それは、500mLのペットボトル1本分の水分を補給する機会を失っていることになるのです」

睡眠中は汗や呼吸、皮膚からの蒸発によって、多くの水分(約500mL)が失われています。朝食を抜いたまま家事をしたり、散歩に出かけたりすると、次の食事を迎えるまでの間、体はカラカラの状態になってしまうことに。

「その結果、なんとなく体が重く感じたり、思わぬ不調を招く危険が高まってしまうことがあります。規則正しい食生活を心がけ、水分やビタミンC、ミネラルがたっぷり詰まった旬の果物や夏野菜をバランスよく摂って、暑さに負けず元気な毎日を過ごしましょう」

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とはいえ、暑さで食欲が落ちると、「何か食べなければ」と思っても、なかなか箸が進まない日もあるでしょう。そんな時は、水分と栄養を同時に補える食品を上手に取り入れることも、水分不足対策のひとつです。

そこでおすすめしたいのが、キウイフルーツ。約80%以上が水分でできているため、みずみずしく食べやすく、食欲がない時でも無理なく水分を補うことができます。

「キウイフルーツは水分だけでなく、体内の水分バランスを健やかに整えてくれるカリウムをはじめ、汗とともに失われやすいカルシウムやマグネシウムといった、大切なミネラルを豊富に含んでいます。さらに、近年の研究で暑さに順応する力をサポートすることがわかってきたビタミンCをはじめ、ビタミンB群やE、そして食物繊維まで、大人の体にうれしい栄養素を同時に摂取することが可能です」

のど越しのいいそうめんや、冷たいおそばなど、麺類ばかりが登場しがちな夏の食卓。そんな献立にキウイフルーツを一品添えるだけで、不足しがちなビタミンやミネラル、水分を手軽に補い、栄養バランスをアップすることができます。

実際に、ネーブルオレンジやバナナ、スイカなどの果物と比べても、キウイフルーツはビタミンやミネラルをバランスよく含んでいます(※下図参照)。水分補給だけでなく、夏の体調管理を支える果物としても心強い存在です。

ゼスプリ・グリーンキウイおよびゼスプリ・サンゴールドキウイ:The New Zealand Institute for Plant and Food Research Limited and the Ministry of Health(New Zealand): New Zealand Food Composition Data. その他の果物:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

夜間の水分摂取を気にされる方は、食事や間食の選び方を工夫する方法もあります。実は、キウイフルーツはこうした悩みがある方にもおすすめです。

「キウイフルーツは、食後の血糖値の上昇が緩やかな低GI食品です。水分が体内でゆっくり吸収されるため、夜間の水分摂取が気になる方は、就寝前の間食としてキウイフルーツを取り入れるのも一つの方法です」

さらに嬉しいのが、その手軽さです。
半分に切ってスプーンですくうだけなので、小腹が空いた時や午後のおやつ、買い物や散歩に出かける前など、暮らしのさまざまな場面で気軽に取り入れられます。さわやかな甘みと心地よい酸味のバランスは、暑さで食欲が落ちている時でも、するりと喉越しよく楽しめるでしょう。

夏の水分補給は、「飲む」だけでなく「食べる」ことも大切です。毎日の食卓にキウイフルーツを取り入れ、水分と栄養をバランスよく補いながら、夏の食生活に役立ててみてはいかがでしょうか。

そのまま食べても美味しいキウイフルーツですが、ほんの少し塩気を加えることで、さわやかな甘みがグッと引き立ち、ミネラルも同時に補える万能なひと品に。火を使わず、手軽にパパっとつくれて、見た目もさわやかなレシピを2品ご紹介します。(レシピ監修:Shie)

材料(2人前)
サンゴールドキウイ…2個

<A>
プレーンヨーグルト…200mL
牛乳…100mL
はちみつ…大さじ2
塩…ひとつまみ
氷…適量

<作り方>
①キウイを厚手の袋に入れ、手でもみつぶして粗いピュレ状にし、グラスに注ぐ。※グラスに注ぐ際、袋の底の端をキッチンばさみで切って押し出すと、注ぎやすい。
②Aを混ぜ合わせ、①に注ぎ入れ、氷を入れる。
③飲む直前に混ぜながらいただく。

<Point>
豊富なビタミンCに加え、さまざまなミネラルがとれるヘルシードリンク。ミキサー不要で洗い物が少ないので、暑い夏でもおっくうがらずにパパっと作れる。乳製品はキウイ酵素の働きで苦くなる性質があるので、飲む直前に混ぜるようにして。はちみつの量は、キウイの甘さや大きさに合わせて調整を。

材料(2人前)
グリーンキウイ…1個 サンゴールドキウイ…1個
※どちらか、1種類でもOK

<A>
りんご酢…50mL 水…100mL オリーブオイル…大さじ1 塩…ひとつまみ 黒粒こしょう…小さじ1/2(あれば) ローリエ…1枚(あれば) 鷹の爪…1本(あれば) ※ほかにもミントやタイムなどのハーブ、シナモンなどのスパイスを入れるのもおすすめ。

<作り方>
①キウイは縦8等分のくし型に切り、煮沸消毒した保存容器に入れる。
②Aを鍋に入れ、沸騰したら火を止め、冷めたら①に注ぎ入れ、2時間以上漬ける。

<Point>
保存性が高く作り置きが可能。好きな時に手軽につまめて、こまめな水分補給にも役立つひと品。

1991年 福島県立医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部麻酔科入局、同附属病院救命救急センターなどに勤務。経口補水液に関する原著論文を多数発表する、経口補水液の専門家。著書に『イラストでやさしく解説! 「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』『熱中症からいのちを守る』『いのちを守る水分補給』『いのちを守る飲水学』などがある。

鮮やかな黄色の果肉のサンゴールドキウイは、驚くほどトロピカルでジューシーな甘さが特長。ビタミンCを豊富に含み、1個で1日に必要なビタミンCをとることができます

鮮やかなグリーンの果肉が目印の、キウイフルーツの代表選手。酸味と甘みのバランスが絶妙で、さわやかな味が人気。1個で現代人に不足しがちな食物繊維を補うことができます

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