ただでさえ忙しい検査場の係員に迷惑をかけても平気な人間になってしまったようで…(写真:stock.adobe.com)
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《暴走老人》になった夫

旅先から国内線の飛行機で帰る際、夫が保安検査場でもめ始めた。すでに検査を終えた私が戻って話を聞けば、手荷物に「はさみ」が入っていたという。刃物類の機内持ち込みが禁止されているのはよく知られたこと。今まで何十回も飛行機に乗ってきたのに、と腹が立った。

「諦めて新しいものを買おう」と伝えたが、夫は目が据わっていて、聞く耳を持たない。ただでさえ忙しい検査場の係員に迷惑をかけても平気な人間になってしまったようである。結婚生活36年、私たちは仲がよく、数えきれないほど一緒に旅をしてきた。社会常識や道徳を理解し、私の話をちゃんと聞く夫。その信頼関係が、足元から揺らいだのだ。

その後も夫は「どうしてもはさみを持ち帰りたい」とゴネ続ける。最終的に、係員が荷物として発送する手配をしてくれた。航空券は私のスマホにしか表示されないので、検査場の外まで一緒に出て、送る手配をしたうえで、再び検査を受けることになる。まさに一蓮托生だ。

そんな状況になっても謝る気配はない。夫に、「私に何か言うことはないの?」と尋ねたが、「まとめてスマホでチケットを取ったお前が悪い」と言う始末。

72歳となった夫は、すっかり自分本位になってしまった。行動の善悪の区別もつかず、これでは《暴走老人》である。まさか自分の夫がこんなふうに変わってしまうとは。本当にショックだ。

 


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