読者である友人から「書いたものもずいぶん溜まったでしょうし、本にしてみたら」と…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは東京都の70代の方からのお便り。30年書き溜めてきたエッセイを、「本にしてみたら?」と読者でもある友人に言われ――。
女優になりたい
エッセイとは何ですか?作文でも日記でもないもの?
30年前、恥ずかしくてエッセイの意味を誰にも聞けないまま、私は「エッセイ教室」へ入門。すると思いのほかドはまりして、エッセイを書くことが日々の活力になっていった。
日記とエッセイには大きな違いがある。日記は「旅先の光景にとても感動した」と書けば、読み返すたびにその時の気持ちが思い出される。しかしエッセイの場合、何を見てどう感動したのか、具体的に書かなければならない。つまり日記は自分自身に向けたものだが、エッセイは読者を想定して書くものなのである。
最近になって、私のエッセイの読者である友人から「書いたものもずいぶん溜まったでしょうし、本にしてみたら」と言われた。えっ、私のエッセイを本に?思いもよらない一言に心がざわつく。
自分のようなつまらない人生でも、綴ったものが本となり、若い人のヒントになったら、生きてきた意味があるというもの。実際、過去には山口百恵さんをはじめ、多くの芸能人が自らの人生を記したエッセイを出してヒットしている。人生の集大成としてありなのかも、とその気になってしまった。
が、いやいや待てよ。あの人たちは女優。ファンがいるから本も売れるのだろう。どこにでもいるような76歳のおババの人生に、誰が興味を持つのか?本をヒットさせるには女優となった私が上梓する、それしかないでしょう。でも、その前にまず女優にならなければ……。
どなたさまか、女優さんになるツテがございましたら紹介してくださいませんか。私は今、女優になりたいのです。