
温もり不足のお嬢様へ
帰宅してリモコンを数回押してマツコ・デラックスが出てるのにする 片岡 絢
おかえりなさいませ、お嬢様。今日は遅くに随分お疲れの帰宅で。残業でございますか? それとも会社の飲み会でございますか? むむむ、しかめっつらで何もお答えになってくださいません。と思いきやジャケットを脱ぎ! タイトスカートを脱ぎ! さらにブラウス、ストッキングを脱ぎ! わわわ、見ていません見ていません再び! お嬢様のナイスバディーなど! そしてお嬢様はすぐにシャワーを浴びに! 対戦でございますか!? いよいよお嬢様との一戦でございますか!? そんなそんな! と思いきやそうでもなく、かかってこいでございます! 今日の私めの下着は白ブリーフでなくカルバン・クライン! いつかこんなこともあろうかと流行りの下着で揃えております! 服をクリーニングに出して、ヒールを磨いておいてとは、なんという焦らしプレイ! 存じております存じております。
待ちに待った15分後、お嬢様はバスローブに身を包み、こちらにいらっしゃると思いきや、おおー! キッチンに行ってしまいました! 持ち出したのはビール! しかしこういう時はやはりシャンパンではありませんか? ロマンチックなシャンパンの泡の味のキッス……! ……え? ……違う? ……チガウ? お嬢様! おいぼれを揶揄うのもいい加減にしてくださいませ! え? そうではない? そのスーツにヒール、満員電車の中で吐かれちゃったのよ! ですと!
それはなんというご不幸! 酒乱の被害に遭ってしまったのですな。しかも電車には香水バンバンの人がいて気持ち悪くなってたところ、ヒールの足元は痛いし、服にはゲロ、しかも、人身事故で電車が止まってしまったのよ! 自殺するなら迷惑にならないところでしてよね! と!
……お嬢様、差し出がましいようですが今の発言はいかがかと。人が、迷いに迷い、ここにその命を絶ってしまったのですぞ! 迷惑がるのはあまりに真心がないというもの。どれだけ満員電車で嫌な思いをしていても言っていいことと悪いことがございます。うむ、今日のお嬢様は心の温もり不足。都市生活にすっかり疲弊しておいでです。
そんなお嬢様に片岡絢さまのお歌のお振舞いです。
