4月7日に7都府県で緊急事態宣言が発出され、繁華街では商業施設の 休業が相次いだ。4〜6月期の個人消費の落ち込みは戦後最悪のレベルに(写真提供:写真AC)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、「デフレマインド」について解説します。

平成から続く消費の冷え込み。家計防衛の大原則は

この連載で私が執筆するのは今回が最後になります。私がこれまで言い続けてきた「借金減らして、現金増やせ!」の心構えについて、もう一度考えてみましょう。

平成の30年間、日本経済はずっとデフレ状態でしたが、令和もこの傾向は続きそうです。なぜなら、新型コロナウイルスの感染拡大が、その傾向に拍車をかけているからです。

コロナ禍で各企業にテレワークが本格的に導入されました。業種にもよりますが、どこに住んでいても仕事ができる環境が整いつつあります。実際、IT企業では、家賃を抑えられる田舎にサテライトオフィスを開設するところが少なくありません。

そうなると、10軒に1軒は借り手がつかない東京のオフィスや土地は、さらに値下がりします。また、スーツも不要になるので服飾費も、コロナ感染を恐れて外食を控えるので食費も減る。テレワークでは残業手当がつかない会社も多く給料が減りますから、消費は冷え込み、デフレマインドはさらに強くなる。

その状況で最も大切なのが、「借金減らして、現金増やせ!」の心構えなのです。ホントかな? と思う方もいるかもしれませんが、日本の企業を見てみるとそれが正しいことがわかります。バブル崩壊後、日本の企業は不良債権という“借金”を減らし、内部留保と呼ばれる“貯金”を続けてきました。その結果、強靭な企業体質になっています。

皆さんのご家庭も、まず今ある借金をできるだけ減らすことを考えて、余裕があれば貯金を増やす。そして強靭な家計にし、何とかコロナ禍を乗り越えていきましょう。