新学期を控えて突然の休校要請
重松 1年間続けてきたこの連載、初回は「オリンピックをどう楽しむか」。それを思っても、2020年はまさにジェットコースターのような年でした。
村上 日常がこんなに変わってしまうなんて思いもしなかったです。
尾木 子どもをもつ親がまず翻弄されたのが、小中高校の一斉休校。政府による休校要請の発表が2月27日でした。
村上 ちょうど私が『ラジオ深夜便』を担当する日で、その放送の準備をしているときに休校の発表を聞いて、びっくりしました。
重松 村上里和さんにも学校に通う娘さんがいらっしゃいますね。
村上 はい。長男は成人していますが、長女は小学校6年生です。自分の家のことだけを考えれば、娘は高学年ですし、日中、ひとりで留守番ができる。でも、新1年生になる子や低学年の子だったら。どんなに世のお母さん、お父さんたちは驚き、慌て、不安を感じているだろうと思い、このことに『ラジオ深夜便』でふれました。
重松 親御さんたちも大変ですが、学校の現場にしても、寝耳に水の話です。
尾木 安倍総理(当時)が木曜夕方に記者会見で発表、翌週月曜からの実施で、準備期間がありません。村上さんが言われたように、小さな子どもをひとりにできない家庭では親は仕事を休まざるをえない。収入や生活はどうなるのか? シングルマザーやシングルファザーの場合は? 問題は山ほどありました。
村上 戸惑うことばかりです。
尾木 学校は本来なら4月から新学期。けれど、授業はできない。日本はオンライン教材がほとんど整備されておらず、プリント類が中心。授業で教わってもいないのに、子どもたちには課題が次々と送られてくるのです。
重松 里和さんのご家庭でも負担がありましたか?
村上 はい。娘の小学校へは、家庭学習のプリントを定期的に受け取りに行っていました。国語・算数・理科・社会だけではなくて、英語や音楽、体育、図工も自宅学習です。きちんと提出できていないと、先生から連絡がきたおうちもあったみたいで。