イラスト:小林マキ
すっかり定着した感のある「終活」という言葉。当初は葬儀やお墓の準備をする人が多かったのが、最近の傾向は住まいやものの片づけに変化してきているそうです。そもそも、年齢を重ねていくなかで、病気や体力の低下には備えることができても、自分の死後についてとなるとーーしかも“おひとり様”の場合は何についてどのように準備すればよいのでしょうか。(構成=島田ゆかり イラスト=小林マキ)

自分が亡くなったあと家を片づけるのは

「終活」という言葉が流行語になったのは2012年。当時の終活は、自身の葬儀やお墓に関することが中心でしたが、現在では自分亡きあと、家の片づけをどうするかなど、モノや心の整理をしておきたいという人が増えています。女性は男性より長寿であり、未婚や離婚も増えるなかで、「おひとりさまの死後」の準備は、女性にとって、より切実な問題です。

おひとりさまの女性が自身の死後についてまず不安に思うのは、葬儀までの段取りや無事に埋葬されるのか、ということではないでしょうか。おひとりさまが亡くなると、基本的には親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)が初期対応の候補者となりますが、何十年も会っていないのに遺体の引き取りに来てください、と言われても困りますし、なかには兄弟姉妹と折り合いが悪いから頼りたくない、甥や姪に迷惑をかけたくないと考える人もいるでしょう。

葬儀などセレモニーが一通り終わると、次は部屋の片づけやさまざまな届け出・手続きが待っています。最近は「デジタル遺品」が増えており、パソコンの中の個人情報やSNSのアカウントの削除も必要です。誰かに削除を頼んでおかないといつまでもデータが残り続けることになり、月会費がかかるサービスなども、解約しなければ請求が続きます。

さらに役所などの一連の手続きにも手間がかかるものです。年金や介護保険といった社会保険の停止、公共サービスの解約、賃貸住宅や老人ホームの解約など……。死後の身の回りの手続き(死後事務)を次のページの表にまとめました。これだけのことを、誰かに引き受けてもらわなければならないのです。