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認知症ケアの最前線で患者やその家族と日々向き合う介護職の人々。コロナ禍で、ワクチン接種会場に付き添ったり、カッパを着て入浴介助したり…。リスクとも闘ってきた女性3人が、現場の苦労を語り合いました(構成=古川美穂)
●内田香さん(57歳・仮名・以下同)
千葉県内のショートステイ施設勤務。がんを患う父の介護をきっかけに介護業界に入り、今年で20年

●坂本麻理さん(58歳)
民間介護サービス会社勤務。都内の事業所で、ケアマネジャーとしておもに在宅介護のサポートを行っている。介護業界15年目

●藤井絵美さん(42歳)
埼玉県内の特別養護老人ホーム勤務。社会福祉法人が運営する大きな施設で、入所者約90人だとか。介護業界17年目

<前編よりつづく

厳重装備の入浴介助で酸欠状態に

坂本 コロナ禍で、オンラインの面会など、ネットに頼る場面も増えてきました。ネットは便利だけど、まだまだ使える高齢者は少ないですからね。ワクチン接種のネット予約が始まったとき、私は10人以上の方の代理予約をしましたよ。電話窓口もありましたが、何十分かけたって繋がらない。本人に代わってネット予約をしてくれる人が周りにいる高齢者ばかりではないと、なんで行政はわからないのかなあ。

内田 無事に予約が取れても、独居の認知症の方はおひとりで接種会場までたどり着けないでしょう。そういう場合は、坂本さんが連れて行かれるんですか。

坂本 ヘルパーさんの手配がつかないときは、私がご一緒しますね。それも仕事の一環だと思っているので。認知症の方は、マスクをすぐ外してしまうから、公共交通機関で脇について、「マスクしようね」と声をかけてあげます。

内田 ショートステイでは共有空間が多いので、本当はマスクをずっとつけていてほしいところですが、基本はみなさんしていません。そのかわり換気を徹底して、職員はフェイスシールドをしたうえで、マスクも。

藤井 ああ、想像するだけでも汗が……。

内田 マスクが手に入らなかったころは、手作りの布マスクにカッパを着て入浴介助をしていましたが、本当に暑くて。酸欠状態になるし、意識がもうろうとしてくる。(笑)