脳トレゲームに熱中しつつ、互いにアドバイスし合うことも
新守山駅近くの静かな住宅街にあり、1日平均13名が利用する小規模デイサービス「デイサービスたまや」。利用者のためにスタッフが作った脳トレ問題をまとめた本が5万部のヒットとなり、話題を呼んでいる。シリーズ第3弾の刊行も決まっているそうだが、利用者だけでなく、その家族やスタッフたちをも夢中にさせているドリルは、どのように生まれたのだろうか(撮影=田原由紀子)

<前編よりつづく

どんどん元気に明るくなっていく

独自の脳トレ問題を作り始めて、およそ6年。デイサービスに通う利用者たちに、さまざまな変化が見えてきた。スタッフとの会話がスムーズになり、問題を解くことが自信につながるせいか、表情も明るくなったという。

そこで、利用者以外の人にも楽しんでほしいと、出版社とのマッチングサービスを行う「企画のたまごやさん」というサイトに応募。それを見た出版社から声がかかったのだ。

「私たちは医師ではないので、トレーニングの効果についてのエビデンスは持ち合わせていませんが、認知症の症状が落ち着いているという実感はあります。ケアマネジャーさんから、『要介護度が上がらないばかりか、前よりもしっかりしている』と報告を受けることも。

脳トレ問題を1年以上続けた人としていない人とでは、理解力や集中力に違いがありますし、問題を1週間解かないと、話の時系列がおかしくなったと感じることもあるんですよ。楽しくなければ続けられませんから、興味を持ってもらえるよう工夫しています」