作家・桐野夏生さん(左)と桑子真帆アナウンサー(右)

『OUT』『グロテスク』など、 これまで社会に顧みられることのない女性たちと、その痛みを圧倒的な筆力で浮かび上がらせてきた作家・桐野夏生さん 。最新作『燕は戻ってこない』では、女性の貧困と生殖医療の問題を題材とし、相次いで女性誌の特集が組まれるなど注目を集めています。

「テレビは苦手」と滅多にテレビ出演しない桐野夏生さんに、NHKクローズアップ現代キャスター・桑子真帆アナウンサーが単独インタビュー。

「このことについても聞きたい、あのことについても…!と思っていたら、あっという間に時間がたっていました」

「まっすぐ揺るがない信念をのぞかせたかと思うと、小説家として常に不安や怖さと隣り合わせなんだという言葉も。そこをどう乗り越えるのか、大切なヒントもいただきました。自分に正直で、ちょっとお茶目で(なんて言ったら失礼かしら)、温かくて」とインタビューした桐野さんについて語る桑子キャスター。

今回の番組出演や最新刊『燕は戻ってこない』に関して、桐野さんにコメントをいただきました。

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「命の倫理を考える前に医療技術が凄い勢いで進んでいる。一方で不妊の悩みは深い。こうした時代に渦中の、特に若い女性たちの気持ちを考えてみたいと思いました。

もう一つは、医療技術の進歩が大きな格差を産んでいること。富めるひとはお金を出せば子どもを持つことができる。持たない女性は不妊の現実にずっと苦しむ。
代理母もそう。いま認めている国はウクライナとロシアだけです。これも貧しい国の貧しい女性が引き受けている。恐ろしいことに将来の日本の女性がそうならないとも限らない。

さらに言うと、医療技術の進歩は出生前診断を可能にし、命の選別も始まっている。
私たちは、大変な時代をむかえているわけです。そんな時代に女性たちが、何を考えどう向き合っていくのかを書きたかったのです」

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何が現代の「痛み」を生み出しているのか。どうすれば自分らしく生きられるのか。
6月1日に放送予定のクローズアップ現代『その〈痛み〉を抱きしめて~作家・桐野夏生さんの問いかけ』では、「《安易なラベリング》に抵抗するために仕事をしている」 と語る桐野さんが見つめる、現代社会と《痛み》に迫ります。

【放送】 6月1日(水)総合 19:30~19:57
【再放送】 BS1 6月2日(木)17:30~17:57
【配信】 NHKプラスで放送後1週間見逃し配信