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時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは50代の女性からのお便り。ある日の昼過ぎ、家にかかってきた電話は――。

ついに来た! 詐欺電話

ある日の昼過ぎ、1本の電話がかかってきた。テレビの音量を下げて応対したが、相手の声が小さい。「電話が遠いようなのですが」と言うと、少しの間があって電話の声は言った。「……おばあちゃん?」。

詐欺を確信した私は慌てて電話を切った。私に孫はいないし、親戚や友人の孫はみんな幼い。これまでオレオレ詐欺への注意を呼びかける報道を目にするたび、家族で気をつけようと話し合いつつもどこか他人事だったが、突然のこの電話である。受話器を置いた手が震えた。

唐突に電話を切った私に気づいた娘に、詳細を説明。「かかってきたのよ、うちにも!」。「母さん、ナイスじゃない。だまされずに電話を切れたんだから」と娘は褒めてくれたが、あの声が耳に残って気分が悪い。

帰宅した夫に話すと、「だまされたふりをして、犯人逮捕に協力すればよかったのに」と笑い、他人事だ。私がどんなに怖い思いをしたかわかっていない。冷たい目で夫を見つめた。

日常を脅かす詐欺は突然やってくるのだと、気を引き締め直した出来事だった。


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