女優気分が味わえる体験 ©Antoine Poupel
漫画家、作家、コメンテーターとして幅広く活躍していたさかもと未明さんは、2006年に膠原病を発症し、手指が使えなくなるかもしれない状況に。「表現」の一つとして歌手としての活動を開始した。その後、病とつき合いながら絵を志して2017年に画家デビュー、着実にキャリアを重ね、2021年、2022年にはフランスの権威ある絵画展サロン・ドトーヌに2回の入選を果たす。何度もフランスを訪れる中で出会ったあるスタジオとその歴史に魅了され、ポートレイトの撮影を決意。贅沢ではあるが唯一無二の体験を、ルポしてもらった。

Studio Harcourt Parisでの撮影

「着ていただく服はこれとこれと…着物ドレスは決まってるから…これはいらない」

スタジオのカメラマンD氏が、私が着る衣装を、手際よく選び取っていく。撮影できるのは2ポーズだけ(2種類の衣装で何百枚と撮った中から、最良の1枚ずつを選ぶ)。

まずは髪型とメイクの相談を ©Antoine Poupel

今まで数々の有名俳優を撮影してきた、パリの有名スタジオ Studio Harcourt Paris (アルクール)での撮影を、「サロン・ドトーヌというフランスの絵画展に2回入選した記念」にと決めた私。テンションが上がり、パリまで山のような衣装を持ってきてしまった。こういう時は、「本番の1枚」を選ぶのが実に難しい。

カメラマンと衣装選び ©Antoine Poupel

でも、現場のカメラマンやメイクさんは慣れたもの。今回私のコーディネートをしてくれた日本人スタッフの坂本京子さんと3人で、ごくシンプルなVネックのセーターと、その上に重ねて着る大ぶりのフリルのブラウスなどを選んでくださった。

1ポーズ1995ユーロ。私は追加でもう一枚を希望し、合計2845ユーロ(当時は1ユーロが124円くらいだから、35万くらい)でお願いした。現在は円安なのでもう少し高いが、1ポーズなら30万はいかないはず。さらに日本から送金すれば免税措置もある)。ちょっと贅沢な撮影を決めたのは、知人のカメラマン、Antoine Poupel氏の紹介で知り合った、Studio Harcourt Parisの日本人スタッフ、坂本京子さんから、1冊の写真集を頂いたのがきっかけだ。