不思議な自己肯定感
「これから修正して、もっとよくなるので」と、コーディーネーターの坂本京子さんに言われ、私は今までにない自分のポートレイトができると確信した。そして、これだけの優れたカットの中から「たった2枚」を選ぶ難しさに眩暈を覚える。でもそれは、なんという喜びだろうか。
選ぶのに1ヵ月近い時間を要し、最終的には追加料金を払って、3枚の作品を仕上げてもらうことにした。「ただのテスト」として撮影された私の近影を、多くの人が「モナリザみたいだよ。これいいよ」と、勧めてくれたからだ。
つけまつげも、濃いシャドーも、ウィッグやアクセサリもつけていない、洗い髪をとかしただけの私の姿が、こんなに褒められるなんて。自分に自信がなくて、長いこと色々飾ってごまかしてきたけれど、「そのまんまの私」は意外といいのかな?」。そんな風に、1枚の写真が、今までにない自信を与えてくれた。
更に、「きつすぎるのでは」と恐れた、黒い口紅を付けたドレス姿の私は、ファッションモデルのようだった。予想さえしなかった、見たことのない私。
予想に一番近かったのは、ばっちりと仕事用のメイクを施し、帽子を被った私。力を入れて撮影した写真は、よくも悪くも予想通り(笑)の、でも勿論「外せない1枚」に。
何れの作品も私の内面に、不思議な自己肯定感を与えてくれた。気持ちの変化をくれたことが、何よりの魔法だろう…。