カジノや大麻など、日本に住んでいると不思議に思うようなテーマを扱う授業が、世界にはたくさんある。各国の科学関連のニュースに触れているサイエンスライター・五十嵐杏南さんによれば、ディズニー・ワールドなどのテーマパークや、それを支える企業が集まる中心地、アメリカのオーランドには、テーマパークの「夢」の作り方を学問として研究したり、教えたりする大学プログラムがあるそうで――
世界のテーマパークの中心地・オーランド
日本人からこよなく愛される東京ディズニーランド。
日本の他にも世界中にディズニーのテーマパークは存在するが、中でも規模がずば抜けて大きいのがアメリカのフロリダ州オーランドにあるディズニー・ワールドだ。テーマが違う4つのパークで構成されている。総面積で見ると、東京の山手線の内側の面積を軽く超える規模感だ。
しかもオーランドにあるのはディズニー・ワールドだけではない。他にもユニバーサル・スタジオをはじめ大手のテーマパークが集まり、リゾート客は湯めぐりならぬテーマパークめぐりができてしまうのだ。地元の産業はと言うと、テーマパーク運営会社やそれを支える企業が集まって、まさしく世界のテーマパークの中心地とも言える。
そんなオーランドで、テーマパークの「夢」の作り方を学問として研究したり実践を通して教えたりする大学プログラムが、2010年代後半から続々と現れている。これらのプログラムが扱うのは、テーマパークをはじめ、レストランやカジノなど、テーマ性を持つ空間の演出やその建築だ。
そのうちの一つが、フロリダ大学のテーマ空間統合修士プログラムだ。
このプログラムを牽引するのは、建築家のスティーブン・グラント氏。この道42年のベテラン建築家で、うち28年をディズニーのアトラクションの企画を行うウォルト・ディズニー・イマジニアリングで、建築家として働いてきた。
「この学科の教育課程には、私がキャリアをかけて学んできたことを全部つぎ込みました。
テーマパークの建築を含むテーマ空間の設計は、学問としては新しい分野です。その分、教えるべきことや研究すべきことが多く、私たちの大学もプログラムの開設に踏み切ったのでしょう」と彼は言う。