キャリアの中でのラーニング

グラントさんのキャリアの中では、こんなことがあった。ディズニー・ワールドのショッピング施設、ディズニー・スプリングスの建築を任されていた時のこと。

アートディレクターが、壁を1920―30年代の南フロリダ風の建築様式にしたいと言ったことがあった。

その建築様式は継ぎ目のないコンクリートの壁を使った美しいものだったが、現代では、コンクリートに継ぎ目は絶対に欠かせない。コンクリートは割れる可能性があり、割れると水が入り込んできて危険だからだ。

1920―30年代当時は壁の厚さが1メートル近くあり、今よりずっと厚かったのでコンクリートに割れ目が少し入っても問題視されなかったが、現代の薄い壁では、継ぎ目なしに壁を作ってしまうとひび割れによるリスクが高くなる。

結局折衷案として、見えにくい継ぎ目を作るに至った。