人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第21回は、「多発性硬化症」です。
(取材・文/松井宏夫 医学ジャーナリスト)
この記事の目次
〈症状〉病巣の位置により症状もさまざま
〈原因〉神経を覆う髄鞘が傷つく 〈治療〉投薬やリハビリなど症状別に対応 〈予防〉腸内環境の悪化やストレスに注意

〈症状〉病巣の位置により症状もさまざま

多発性硬化症(Multiple Sclerosis)は、英語名の略で「MS」と呼ばれています。

脳や脊髄、視神経など中枢神経が侵されるため、病巣ができる部位によってさまざまな症状が出ます。症状が表れて回復するという経過(再発と寛解)を繰り返していくうちに、徐々に神経症状が進行してゆくのが特徴です。

視神経が侵されると視力障害(視力低下、視野欠損)が起こり、また、視神経炎により目の痛みなどを感じます。脳と脊髄が侵されると手足がしびれたり、力が入らなかったり する運動麻痺や、 たとえば脳神経のうち顔面神経が侵されると顔面神経麻痺がきます。

さらに、感覚障害も引き起こすため、冷たいコップを持ってもその冷たさがわからなかったり、熱い物に触れて火傷をしても痛みを感じなくなります。 「尿が出にくい」「残尿感」「頻尿」「尿失禁」といった排尿障害も症状の一つです。

図:多発性硬化症(MS)とは
(バイエル薬品株式会社『My Life with MS No 1』を基に作成)