長く鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母。福岡に移り住んでもらうことになったが、予期せぬ事態が――(写真:著者)
NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』では五島に住んでいた”ばんば”こと祥子(高畑淳子さん)が倒れたことをきっかけに、東大阪へ移り住むことになりました。島を離れたくないばんばと、移ってほしい家族とで「覚悟」が問われるシーンもありましたが、歳を重ねたのちに過ごす場所が本人の望む所か、周りの家族が望む所とするかは、一家にとって大きな問題なのかもしれません。フォトグラファーである高重さんのご家族も、その問題にぶつかります。鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母を説得し、福岡へ移り住んでもらうことになりましたが、移ったその翌日、予想外の事態が起きてしまい――。

祖父母が鹿児島の離島から移り住むと聞いて

島の自然は強く、厳しく、優しい。

祖父と祖母はそんな島の一部であるかのように、エネルギッシュで、いつも自然体な人だった。

二人はずっと島で生きていき、やがて亡くなれば、島の風や土になるものと思っていた。

だから、二人が、叔母の住む福岡で余生を過ごすと聞いた時は、まず驚き、そして、寂しく思った。