組織のリーダーや、企業の管理職のなかには「時代の変化に対応しなければ」「なかなか自分を変えられない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。2022年度の大学3大駅伝で駒澤大学陸上競技部を3冠に導き、2023年4月から総監督を務める大八木弘明氏もまた、当時、時代の流れを感じ、新たな指導方法を模索したといいます。令和の時代になり、何をどのように変えて再び強いチームをつくったのでしょうか。大八木総監督いわく「戦う前から諦めてはいけない」そうで――。
「これくらいでいいだろう」という安定思考
2008年の箱根駅伝で勝ってから、13年間勝てなくなったが、その間も結果が悪かった年ばかりではない。
2009年は13位だったが、2010年からの10年間で2位が4回、3位が3回ある。
箱根駅伝以外では全日本大学駅伝でもこの間、4連覇していた。
客観的に見れば、駅伝の強豪と言って問題ない結果は残していたし、高いレベルでそれなりに安定した結果は残していたのだと思う。
ただ今振り返れば、安定とは停滞なのだろう。私のなかで箱根駅伝の戦い方、選手の育成が見えてきたために、「これくらいの練習でいいだろう」という、ある意味、達観したところが出てきてしまった。
だからこそ2位や3位になりながらも詰めが甘く、優勝まで手が届かなかったのだ。勝つことに対して執念がなかったと言えるかもしれない。