女は、男は、なぜ半身を求めるのか──。悠木千帆時代の樹木希林さんが各界の著名人に斬り込んだ、伝説の対談シリーズ「異性懇談」(『婦人公論』1976年1〜月号)。再婚、別居、出産を経た歳の頃の男女観が浮き彫りになる対話の一部をご覧あれ
28歳の つかこうへい と「悲劇的でありたい女」の話
つか 女というのはおよそ不幸になることをどっかで望んでいる動物ですね。
悠木 ああ、なるほど。それで実際は不幸にならないんですよね、強くて。
つか つねに開き直っちゃいますからね。
悠木 はじめてうちの旦那のことほめるんだけれども、うちの旦那、明治の男みたいなところあるのね。すごい封建的なの。さっきも言ったように、女はどっかで悲劇的でありたいと思っている。それを十分満たしてくれるわけね。ほんとに生活費なんか一銭ももらったことないしね。それで、なおかつえばりくさっているんだから。
つか だから、どっちを選ぶかだな。
悠木 こういうわたしみたいにすごいプライドの高い、いままで男を睥睨(へいげい)していたような女は、そういうのに会うと、コロッとまいっちゃうわけよ。つかさんみたいに正しくものを見て、これは悲劇に酔っているんだなと思わないで。いま、はじめて気がついたわけよ、三年たって。
カネスキー恵子の一言
樹木さんが内田裕也さんと結婚して、別居して、お子さんを出産された頃の対談です。30代前半とは思えないほどの発言に驚き!