首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災から、9月1日で100年となります。この地震では火災による被害が著しく、約10万5000人の犠牲者のうち9割が火災で亡くなったといわれています。規模の大きい地震では、同時に多くの場所で火災が発生する恐れがあり、阪神・淡路大震災や東日本大震災の時にも火災が多発したことが分かっています。大地震が発生した際に気をつけたい火災対策について考えてみましょう。
関東大震災では火災による被害が大きかった
1923年(大正12年)9月1日の午前11時58分、相模湾北西部を震源とする、推定マグニチュード7.9の「大正関東地震」が発生しました。この地震によって生じた災害を「関東大震災」といい、津波、土砂災害、火災などによる死者・行方不明者は約10万5000人に上ります。
特に火災による被害は甚大で、犠牲者の死因の9割が焼死だったとされています。地震の発生した時間がちょうどお昼時だったため、調理のために火を使っていた家が多く、これが広範囲での火災につながったようです。
この震災では「火災旋風」も猛威を振るいました。火災旋風というのは火災により発生する竜巻のような渦のことで、人や物を吹き飛ばして死傷者を出し、周囲に火の粉を飛ばして延焼を拡大します。最も被害の大きかったものでは、「被服廠(ひふくしょう:軍服を製造する工場)」の工場跡の空地(現在の墨田区、両国国技館の北隣にある東京都慰霊堂の敷地)に避難していた4万人のうち、約3万8000人の人々が火災旋風で亡くなったという記録が残っています。
なお、火災旋風は空襲や山火事により発生することもあります。先日、ハワイのマウイ島で発生した山火事でも、火災旋風が発生して被害を拡大したのではないかと考えられています。