客席からお題を受けると、その場で下書きなしに白い紙にハサミを入れていく。そしてものの数分で、一筆書きの見事な切り絵ができあがる――そんな「紙切り」を57年、毎日高座で披露している林家正楽さん。紙切りの魅力とは?(構成=上田恵子 撮影=大河内禎)
50年以上毎日紙切り。全然飽きません
高座の持ち時間は1人15分。最初の1枚は、短い時間で切れて誰でもわかる、いい形のものと決めています。2枚めからはお客さんに注文を出していただくのですが、日によって反応も違えば、出されるお題も違う。
面白いもので、1枚にかける時間が短い時ほどいいものができたりするんです。おかげで50年以上、毎日やっていても全然飽きません。
紙は大きさ含め、好みで選びます。僕が使っているのは模造紙ですが、厚すぎると手が疲れるし、薄すぎるのもハリがなくてダメ。ハサミも同じで、切れすぎると必要以上に切っちゃうから使いづらい。塩梅ですね。
お客さんからの注文は世相を反映しているため、いま流行っているものは週刊誌などで常に確認しています。知らないものは切れないけど、やっぱり「わからない」とは言いたくないですから。
最近の注文だとメジャーリーグの大谷翔平選手、プーチン大統領。ゼレンスキー大統領なんてのもありました。参考になるのはスポーツ新聞。顔写真が大きいでしょ?