ハサミは刃物店で既製品を購入。「25年使い続けた先代のハサミは輪の部分が削れてペラッペラに薄くなりました。このハサミは15年くらい使っているかな。指のタコは、不思議とできたり消えたり」

国際交流基金の依頼で南アフリカのケープタウンでやった時は、クイーンのフレディ・マーキュリーを注文されました。

わからなくて困っていたら、通訳さんが大声で「ロック歌手です! ヒゲ生やしてて、上半身裸!」と教えてくれて(笑)。それで言われるままに切ったら結構合ってたみたいで、皆さん大盛り上がりでした。総じて海外のお客さんのほうがノリがいいですね。

これまでにまわった国は20ヵ国ほど。ブルガリア、ハンガリー、ルーマニアなんかにも行きましたよ。アフリカのマダガスカルでは、ワオキツネザルやアイアイのような動物や、バオバブの木を切りました。

あらかじめ現地のことを調べてから行くんですが、実際に注文されるのは「日本の家」だったりするんです。

あと、どの国に行っても必ず出る注文はドラゴン(龍)と虎。どちらも強そうだし、形がいいからでしょうね。

紙切りの定番〈藤娘〉。「最近はなかなか注文が出なくてね。今日は久しぶりに切りました。切ったものは全部お客さんに差し上げます」