肌触りや音を写し取って生まれた

五味 今井先生に質問! 「イライラ」と「イラつく」はどちらが先にできましたか?

今井 それは「イライラ」です。擬音語、擬態語が言語の形をとるようになったんですよ。

五味 それって、言語学的には証明できちゃうものなの?

今井 できます、できます。「ワイワイ」が最初にあって、そこから「ワイざつな」という言葉ができたんです。オノマトペはまず、感覚や音に意味を繋げたものとして生まれます。ただの形容詞や形容動詞ではなく、肌触りや、聞こえる音をそのまま写し取って生まれた言葉。

そこから、徐々にその音に意味を持たせていって、「ワイワイ」→「ワイざつな」、「にゃーにゃー」→「ニャンコ」→「ねこ」などの言葉や単語になっていく。

五味 なるほど。やっぱり、感覚的に生まれるものなんだね。だからかな、僕自身はオノマトペは好きだけど、あまり頼りすぎちゃうとだらしなくなる気がして。文章の本を書くときは、多用しすぎないようにしてる。

今井 私は五味さんの言葉遊びの絵本を読んだりすると、言語の奥深さを感じますよ。

五味 ありがとう(笑)。難しいことは何も考えていないのだけどね。

今井 もちろん読者の皆さんにも、ただ純粋に楽しんで読んでもらえばいいと思います。言葉の面白さは、普段何気なく口にする語でも、いろいろ使ってみるとそれぞれの持つ意味や不思議に気づくところ。それを改めて教えられました。やっぱり言葉って面白いですよね。

五味 そう、言葉遊びって、純粋に楽しいよ。特に、オノマトペについては、ワイワイガヤガヤ、飲み屋で話すのが、やっぱり一番面白いよね。(笑)

この対談は、2023年8月4日、ジュンク堂書店 池袋本店にて行われたトークイベントを再構成しました

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