自分の子どもが最初に話す言葉は親にとって気になるものですが、そもそもどうやって子どもたちは言葉を覚えていくのでしょうか。慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみさん、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の秋田喜美さんいわく、言語を習得するときには、オノマトペが重要な働きをするとのことで――。
子どもの発達にオノマトペが必要?
しーん もこ もこもこ にょき もこもこもこ にょきにょき……
詩人の谷川俊太郎と画家の元永定正(もとながさだまさ)のコンビによる、超ロング・ベストセラー絵本『もこ もこもこ』に登場するフレーズである。
「しーん」という、音のない静寂を表すオノマトペ。そこから「もこ」と一言。地面がちょっとだけ盛り上がる。ページをめくると盛り上がりが何倍にもなって、「もこもこ」と。
次に「にょき」と、小さいモノが顔を出す。盛り上がりはさらに巨大になり、「もこもこもこ」と。にょきっと伸びたモノは食べられてしまうが、「つん」と盛り上がりの頭部からまた出てくる。最後は再び「しーん」となる。
音のリズムに、鮮やかな色と単純で力強いフォルム。ストーリーはあるともないとも言える。赤ちゃんは、そして幼児は、この物語をどのように受け取るのだろう。
子どもの絵本は、オノマトペにあふれている。子どもはオノマトペが大好きだ。子どもを育てたことがある人、子どもが身近にいる人は、彼らがオノマトペを口ずさむ姿を思い出すかもしれない。
子どもはなぜオノマトペが好きなのだろう? オノマトペには子どものことばの発達に、何かよい効果があるのだろうか?