子どもに使うオノマトペの特徴

オノマトペがそれぞれの発話でどのように用いられたかを探るため、親がオノマトペをどの品詞で使っていたかを分類した。子どもに向けた発話と大人に向けた発話でオノマトペの使われ方に違いがあるかを見てみると、間投詞的な使い方と副詞的な使い方に大別することができた。

『言語の本質――ことばはどう生まれ、進化したか』(著:今井むつみ、秋田喜美/中公新書)

間投詞というのは、文の中で文法的な役割を担うのではなく、「あーっ」や「どっこいしょ」などのように、口をついて出ることばである。感情や態度が思わず声として出てしまう感じで発話されることが多い。

オノマトペも、「くしゃくしゃー、くしゃくしゃー」のように完全にオノマトペ単体で使われるものが子どもに向けた発話ではよく見られた。これも間投詞的な使い方である。

それに対して、大人に向けられた発話では、「くしゃくしゃに、丸めています」のように動詞を修飾する副詞的な使い方がもっとも目立った。そのほか、「くしゅくしゅしてるよ」のように「する」と結びつき、動詞的な役割を担っていると見なせるものが、子ども向け発話にも大人向け発話にもいくらか見られた。

物事を描写するオノマトペが述部に入って活用されてしまうと、オノマトペのアイコン性(音と意味の類似性)が薄まり、音と意味のつながりを感じにくくなる。

一方、述部の外に現れる語は、高いアイコン性を持ちやすい。中でも間投詞はもっとも述部から独立しており、声の調子もダイナミックに調整しやすいため、オノマトペのアイコン性を保ちやすい。

これを踏まえると、親は子どもに話しかける際、できる限りアイコン性を高める形でオノマトペを使う傾向があると言える。