(撮影:大河内禎 イラスト:竹田明日香)
デビュー歌集『サラダ記念日』以来、第一線で活躍を続けてきた歌人の俵万智さん。短歌作りの基本的なルールと、より豊かな表現にするアイデアを伝授します(構成=篠藤ゆり 撮影=大河内禎 イラスト=竹田明日香)

用意するのは、紙とペンだけ

『婦人公論』読者のなかには、「短歌を詠んでみたい」「興味がある」という方もいらっしゃると思います。そんな方に私がお伝えしているのが、「短歌には道具がいらないので、すぐに始められる」ということ。

音楽を演奏したいとか、絵を描いてみたいという場合は楽器や筆などの道具が必要ですし、使いこなすための技術を習得しなくてはなりません。

一方、短歌の道具とも言える《素材》は日本語だけです。誰もが日頃使っているものですし、使わずには一日も過ごせない。俳句に必須とされる季語も、短歌には必要ありません。だから「作ってみようかな」と思った瞬間からスタートできる。それが短歌の良さだと思います。

用意するのは、紙とペンだけ。そして、ここでご紹介する「短歌の基本」と「伝わる歌にするコツ」を読んだら、思い浮かんだ歌をノートなどに書いていきましょう。

一度書いたら終わりではなく、何度か推敲を繰り返すことで、あなたならではの一首へと育てていってください。短歌を詠むことは、きっと生活に彩りを添えてくれるはずです。