「行間を読みなさい」

タキ 新聞に投稿したの。それで、ラジオでもテレビでも取材されて。母は一貫して「何をみんな読んでいるのですか。何を聞いているんですか」と言っていた。ちょうど母は父を亡くしてから間もない頃だったの。

78年9月に、父は風邪で病床について1ヵ月半で亡くなっちゃったから。そんなこともあって本当はすごい気落ちしてたときに、母のそれこそ存在理由じゃないけど、「私のファイティング・スピリッツがまたムクムクと」って。

それに父は最後に母の手を握って「ありがとう」とつぶやいて亡くなった。その情景に『関白宣言』の最後の歌詞がダブったということもあったと思う。

まさし でも、僕にしてみたらね、いきなり加藤シヅエですよ。加藤シヅエといえば日本の女性国会議員の第一号ですよ。つまり「女性の闘士」というふうに書かれるわけじゃないですか。女性の闘士が『関白宣言』を褒めるというこの感覚がね。

『さだまさしが聞きたかった、「人生の達人」タキ姐のすべて』(著:加藤タキ・さだまさし/講談社)

僕の中には、そのときまでは、女性代議士とか、女性の闘士というものに対するアレルギーみたいなのがあった。

それは別に女性が闘うのが正しい、間違ってるということではなく、この人たちとあまり関わりたくないという感覚を持っていましたが、こんなに公平で客観的な、自分で自分を笑うようなエスプリまで理解できる女性がいて、それで、まさに「行間を読みなさい」みたいなことを言ってくださったことに、本当にショックを受けました。

理解していただくってことがこんなに力が湧いてくることなのかと思いました。シヅエ先生の言葉ってやっぱり大きかったですね。で、その後シヅエ先生のお誕生日にご自宅に伺った。