隣の奥さんに聞いてみると…

確かめる機会がないまま、次の収集日がやってきた。すると私の組の人は全軒、「向こう」にゴミを出しているではないか。私はいじわるされたのかしら……。そうこうしているうちに、隣家の奥さんと当番の日になった。

2人で「向こうの収集所」へ行き、散らかったゴミを集め、軽く水を撒いて掃除して終了。奥さんは「どっちの場所に出してもいいんだけど、掃除当番がこっちだから、やっぱりゴミ出しはこっちかな」と言う。最初からそう言ってくれればいいのに!

そんな私の気持ちなどお構いなしに、私の夫の職場や子どもの保育園の話をしてくる。「してくる」というのは、私自身は話した覚えがないことを、なぜか知っていて、深く訊いてくるのだ。仲良くなったママ友のことや一緒に遊びに行く予定まで、気持ち悪いくらい筒抜けだ。

ある日、買い物から帰ってくると、わが家の駐輪場に男の人の姿が。「あっ」と思うのと、相手が振り返るのがほぼ同時で、顔を見合わせたままお互い言葉が出ない。相手は隣家のご主人。立ち尽くしている私に挨拶もなく、自分の家に戻って植木の手入れを始めた。

私は「そういうことだったのか!」と合点した。毎日、玄関先の植木の世話をしているのは花が好きだからと思っていたが、わが家の窓辺で聞き耳を立てていたのだ。いつもは自転車で買い物に行くが、今日はたまたま歩きだった。

自転車があるから家にいると思ったのだろう。植木の手入れと立ち聞きを兼ねているなんて、あー、イヤだ。それからは窓のある部屋では家族の大事な話はせず、隣家とは当たらず障らずのつきあいをするようにした。