バイクの騒音の原因は
ブォーンブンブン、ブォーン。1ヵ月ほど経った頃、深夜にバイクのエンジン音が轟くようになった。それに続く女性たちの話し声。出所は隣家だ。爆音は3日おきに繰り返される。
近所の奥さんが「あなたのところは子どもさんが小さいし、あの音、大変じゃない?」と声をかけてくださった。隣家の娘さんが少し遠方にある病院に転職したので、夜勤の日は、見送りの母親とおしゃべりしつつ、買ったばかりの大型バイクをうれしそうにふかして出勤しているのだという。
「近所迷惑だから、大通りに出てからエンジンをかけてほしい」と注意した人がいるそうだが、「深夜に女性がバイクを押して歩くのは危険」と言い返されたとか。もはや隣家の常識を理解する気にもなれない。
「あの娘さんの病院にはお世話になりたくない」と思うのが精一杯。なんと言ってもこちらは新参者、近隣と揉めると住みにくいと思うから。
それから数年、子どもの成長とともに小さな戸建てでは手狭になってきたため、再び引っ越すことを考えた。私の3年後に越してきた女性と雑談しているとき、自分たちは頃合いを見計らって出ていくかもしれないと話した。
その女性は70歳くらいで一人暮らし。若々しくしっかりした人だ。翌々日、めったに来ないその女性がわが家を訪ねてきた。「会わせたい人がいる。都合のいい日を教えて」と言われ、強引に約束を取りつけられた。