シヅ子のスウィンギーな歌唱、リズムのノリは、それまでの日本の歌手と一線を画していた(写真提供:Photo AC)
10月2日から放送が始まったNHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』。その主人公のモデルである昭和の大スター・笠置シヅ子について、「歌が大好きな風呂屋の少女は、やがて<ブギの女王>として一世を風靡していく」と語るのは、娯楽映画研究家でオトナの歌謡曲プロデューサーの佐藤利明さん。佐藤さんいわく「帝劇のパフォーマンスを通じ、シヅ子のスウィンギーな歌唱、リズムのノリは、それまでの日本の歌手とは一線を画していると評論家たちから見出された」そうで――。

スウィングの女王の誕生

1939(昭和14)年4月17日から2週間、帝劇で上演されたSGD(松竹楽劇団)の「カレッジ・スヰング」における笠置シヅ子の圧倒的なパフォーマンスは、映画やショウビジネスの見巧者として、また優れた映画評論家として、戦前から2000年代まで健筆を振るった双葉十三郎が、的確かつ素晴らしい批評を残している。

映画雑誌「スタア」誌に「笠置シヅ子論」として寄稿した長文原稿である。

「カレッジ・スヰング」の第6景「セントルイス・ブルース」におけるシヅ子のパフォーマンスは、それまでパートワークで発揮してきた彼女を「漸くに全面的にその実力を発揮したのである」と絶賛。

少女歌劇からSGDのスターとなった彼女が「あまねく我が国第一のスウィンギーなショー歌手としての地位を、揺るぎなきものとなし来ったことを、ひとははっきりと知るだろう」と、日本を代表するショウガールに成長してきたことを、興奮気味に礼賛している。