今尾さん「地図上の等高線は原則として一定間隔で引かれている」(写真提供:Photo AC)
地図を読む上で欠かせない、「地図記号」。2019年には「自然災害伝承碑」の記号が追加されるなど、社会の変化に応じて増減しているようです。半世紀をかけて古今東西の地図や時刻表、旅行ガイドブックなどを集めてきた「地図バカ」こと地図研究家の今尾恵介さんいわく、「地図というものは端的に表現するなら『この世を記号化したもの』だ」とのこと。今尾さんいわく、「地図上の等高線は原則として一定間隔で引かれている」そうで―― 。

等高線は応用範囲が広い

等高線。読んで字のごとく「等しい高さを結ぶ線」であるが、この線の原理は必ずしも高さだけでなく、同じ数値を結ぶ「等値線」として応用範囲が広い。

ある事象が連続性をもって面的に広がっている場合、その傾向を可視化するには効果的で、同じ気圧の地点を結んだ天気図の等圧線は最も一般的だが、同じ開花日の地点を結ぶ桜前線などもこれに含まれる。

地図上の等高線は原則として一定間隔で引かれているが、縮尺や地図作製機関ごとにそれぞれ定められている。

日本の2万5千分の1地形図の等高線間隔は10メートル、スイスの2万5千分の1も同じ10メートルだが、アルプス山脈の地域では等高線が密になり過ぎて読みにくいので20メートルに設定している。

これに対して平地の多いオランダは基本が5メートルと狭い。

いずれも起伏が少ない地域では、場合によって「補助曲線」を使う。日本の場合だと10メートル間隔の等高線だけでは描けない微細な起伏のある平地の微高地や砂丘などを表現する際に5メートル間隔、場合によっては2.5メートル間隔の補助曲線で細かい地形を描いている。