どんな猫も可愛い

猫がうちにきてからというもの、どの猫を見ても「可愛い可愛い」と、近づいていくようになった。どんな顔のどんな性格の猫だって、可愛い。

友人宅には、同じ保護団体から家族として迎えてくれたバディという名前の猫がいる。当時小学生だった息子さんのバディ(相棒)になればという希望からつけた名前だったが、バディというよりライバル。どちらかといえば、わたしの友人である母親のバディ(相棒)である。グレーの美しい毛並みのバディは、気品があり、頭がよく、どんなドアでも開けてしまうので、友人は困りながらも溺愛している。猫が家族にきたおかげで、冬が好きになったのだという。寒くなると猫が自分の体の上で丸まるから嬉しいという理由。

本連載から生まれた青木さんの著書『母』

わたしが住んでいるマンションの下の階には、姉弟の猫たちがいる。この子たちは近所の家の軒下で生まれた。赤ちゃんの時に捕獲し、親猫は逃げてしまったが、2匹の赤ちゃんは無事こちらの家の子ども達になった。黒いお姉さんはスリムだが人間の食べ物が大好きで、常に机の上を狙っている。胸に三日月のマークのように白い毛がはえていて、ツキノワグマちゃんとわたしは呼んでいる。撫でられるのは好きだが、抱っこされるのは得意ではない。

マンションの下の階に住む姉弟の猫

一方、茶トラのフワリとした毛の猫は、キョトンとした顔が何とも愛嬌があり、マンガのホワッツマイケルにそっくりだ。わたしが、このお宅にお邪魔すると、ささささーとどこかの部屋へ逃げていき、時折リビングを偵察にきては、「まだいるのか」と驚いたまま、わたしをじっとみている。「早く帰らないかなぁ」という声が聞こえてくるようだ。しかし、わたしは帰らない。猫がわたしを嫌がる様子もまた可愛くて仕方がない。

マンガのホワッツマイケルにそっくり