綿貫さん「運転士は勤務時間が不規則で、どうしても拘束時間が長くなる」(写真提供:Photo AC)
バスの運転士不足が叫ばれる中、路線バスを減便する動きが全国各地でみられています。日本バス協会によれば、12万1000人の運転手が必要なのに対し、現状11万1000人とすでに1万人不足しており、その不足は今後さらに拡大していくそうです。一方、バスの運行管理者の経験を活かし、交通系YouTuberとして活動しているのが綿貫渉さんです。その綿貫さんいわく「バスの運転士は勤務時間が不規則で、結果としてどうしても拘束時間が長くなる」そうで――。

バス運転士の労働環境とは

バス運転士の労働環境はどういったものだろうか。私の経験と、都内の大手バス会社で路線バスの運転士をしている小野さんにも取材を行い、現状をお伝えする。

長いと言われている運転士の労働時間。

一般的な会社では8時間労働、1時間休憩、9時間拘束が標準的だろう。それに比べ、運転士は勤務時間が不規則でありどうしても拘束時間が長くなる。朝早い勤務は5時台から、夜遅い退勤は0時過ぎまで。

中休勤務*1の存在により、朝早く出勤して昼に長く休憩、夜に退勤ということもある。また、残業で1日12時間くらいの労働時間になることもある。

さらに休憩時間が少し特殊で、連続運転時間が4時間までという制約があるため、4時間運転するごとに30分以上の休憩をとる必要がある*2。

ただ、労働基準法で8時間を超える労働には1時間以上の休憩が義務付けられているので、労働時間が6時間を超えるなら45分、8時間を超えるなら1時間の休憩をとる必要があることは変わらない。

ただ、この連続運転に対する休憩時間は分割が認められていて、10分以上連続で休憩できればその時間を合計することができる。

<『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』より>

【*1】朝ラッシュと夕ラッシュ時に乗務し、昼間は長い休憩となる勤務体系。

【*2】一般的な会社だと、9時~12時が午前の勤務、13時まで休憩、13時から18時までが午後の勤務となり、午後は5時間続けて勤務になるだろう。しかしこのスケジュールで働くことは運転士には認められない。