たかみさん「率直に言って、声優業界はいまかなりマズい」(写真提供:Photo AC)
アイドル並みの人気を博すのも珍しくなくなった「声優」。一方で労働条件悪化への懸念などもあり、令和3年4月1日から、声優も労災保険への特別加入ができるようになりました。声優事務所・スタイルキューブ代表取締役社長・たかみゆきひささんは、競争の激化で声優業だけでは食べていけない状況が生まれ、取り巻く環境はさらに変わりつつあると言います。そのたかみさんいわく、「率直に言って、声優業界はいまかなりマズい状況」だそうで――。

現代はアイドル/タレント化した声優の時代

みなさんは声優という職業にどんなイメージを持ってますか。まずアニメや洋画のアフレコや、テレビ番組のナレーションをする人たちという声優像が、世代を問わず一般的なイメージとしてあると思います。それは間違いありません。

しかし近年はそれだけではなく、アーティスト(歌手)活動やラジオ番組のパーソナリティーやライブ活動など広範に及ぶ、いわゆる一般的な芸能人とそう大きく変わらないタレント業となっていることもご存じかと思います。

あ、声優業も芸能だと思うのですが、本記事ではわかりやすく区別するため、声優以外の芸能人を「芸能人」、声優業界以外の芸能界を「芸能界」と表記することにします。

そして、そもそも「アイドル」とは何ぞやという話ですが、もとの意味で考えると偶像とか憧(あこが)れの存在ですから、アイドル声優というと「人気声優」みたいな意味ですよね、ざっくりですが。

なので、アイドルとは職業と言うよりも業態に近いと考えられます。とまぁ、そんな細かい話は置いといて……。

いまや声優が雑誌の表紙を飾ったり、アニメキャラクターではなく声優自身がテレビ番組に出演することも珍しくありません。

若い方は信じられないことかもしれませんが、一時期は声優が「声」のみの裏方仕事に専念せず、露出して活動しアイドル/タレント化していくことが批判される風潮もありました(現在でもありますが)。

ですが、そんな声優像はもはや過去のもので、タレント化した声優がいまではかなり台頭してきています。