「付加価値」
このような話をすると、声優ファンのなかには「声優は声優業だけやっていればいいんだよ。アイドルみたいなことをしてるいまの状況がおかしい」と言い出す人がいます。
しかし、声優業だけでは声優も事務所も食っていけないのが現実です。ゆえに、声優業界は声優をアイドル/タレント化する道を進んで現在に至っている経緯があります。
もちろんタレント化した声優に対するニーズがあるからこそ成り立つものですから、そこも忘れてはなりません。仕事の大前提は「ニーズに応えること」、需要(じゅよう)と供給です。
声優という職業が人気であるがゆえに数が多すぎることにも大きく起因しています。アイドル/タレント化というのは「付加価値」です。要するに付加価値がなければ、肥大した声優業界のなかで生き残れない。食っていけない。
しかし、タレント化することによる負担は大きく、それをサポートするだけの体制が声優業界にはまだまだ整っていない。
本記事を書こうと思った動機は、そうした現状に一石を投じ、また、外からは見えづらい声優業界の裏でがんばっている声優やスタッフたちのことを少しでもみなさんに知って応援していただきたいという思いからです。
※本稿は、『アイドル声優の何が悪いのか? アイドル声優マネジメント』(星海社)の一部を再編集したものです。
『アイドル声優の何が悪いのか? アイドル声優マネジメント』(著:たかみゆきひさ/星海社)
アイドル声優という観点からこれからの声優業界に必要なことに迫ります。
声優志望の方、声優を支えたい方、目指すべき声優像と声優業界の姿を僕と一緒に探りましょう!