「私の場合、いわゆる《強運の持ち主》とは少し違います。15歳で女優デビューしてから現在に至るまで、決して順風満帆な道のりではありませんでした。」

NHK土スタのゲストは、『あきない世傳(せいでん)金と銀』で主人公・幸を演じる小芝風花さん。原作は髙田郁さんの大人気小説のこのドラマの魅力を、小芝風花さんが語ります。TBSのドラマ『フェルマーの料理』で、トップレストランの厨房で唯一女性として働くシェフ・赤松蘭菜を熱演中です。15歳でスタートした10年の女優人生について振り返った『婦人公論』2021年1月26日号のインタビューを再配信します。
 

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NHK連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの娘役として注目を集めて以降、数々の話題作に出演。しかしデビュー当初は、悔しい思いをすることも多かったといいます。あきらめない原動力とは。(構成=内山靖子 撮影=宅間國博)

どんなに小さな役でもベストを尽くす

おかげさまで、このところドラマに主演させていただく機会が続いています。お仕事に恵まれているので、運はいいほうなのかもしれません。14歳のときに応募した事務所主催のオーディションで、3万5000人以上もの応募者の中からグランプリに選んでいただいたこともそうですし、大勢の俳優さんがいるなか、話題のドラマで役をいただけているのも本当にありがたいことです。

ただ、私の場合、いわゆる《強運の持ち主》とは少し違います。15歳で女優デビューしてから現在に至るまで、決して順風満帆な道のりではありませんでした。同年代の女優さんたちがどんどん活躍していくのを横目で見ながら、「なぜ、私はああいう役をやらせてもらえないんだろう?」と、悔しい思いばかりしてきましたから。

でも、そんなときでも、目の前のお仕事にはいつも全力で取り組んできたつもりです。負けず嫌いな性格なので、たとえオーディションに落ちても、「私を選ばなかったことを絶対に後悔させてやる!」と自分を奮い立たせたり。(笑)

また、ご一緒させていただいた共演者の方や監督さんたちに、「この子と仕事をして楽しかった。もう一度、一緒に作品を作りたい」と思ってもらえるように、どんなに小さな役でもベストを尽くし、私の存在を少しでも覚えてもらえるように心がけてきました。

そのおかげかどうかはわかりませんが、20歳を過ぎた頃から、「今度は、こんな小芝を見てみたい」と、それまでとは違った役柄でオファーをいただけるようになったのです。