一二三を強くしたのはなんといっても丸山戦
そして2021年、ようやく迎えたオリンピック。それぞれが金メダルを獲得し、さらに兄妹で出場した混合団体では銀メダルを獲得するという快挙に、地元からも喜びの声が上がっている。
メダル獲得後の7月31日、一二三の母校・神港高校の柔道場を覗いた。総監督の信川厚さんは「一二三を強くしたのはなんといっても丸山戦でした。負けたら終わりで、試合開始まで顔がこわばっていた。あれを乗り越えたことがすべてです。今回のオリンピックは、本人も勝って当たり前くらいに思っていたのでしょう」と話す。
詩の中高時代に指導していた、神戸の柔道教室「樽谷塾」 の新名悦子さんは、「詩ちゃんは周囲に流されない、芯のある女性。最初は寝技も私のほうが詩ちゃんより強かったんですが、あっという間に勝てなくなりました。決勝で決めた押さえ技もよく練習していたのでしょう」と話す。
悦子さんの長女で大学生の寧々さんは、夙川学院中学の3年から同高校3年までスポーツ学科、柔道部で詩と一緒だった。「詩ちゃんは昔からみんなに優しくて友達が多かった。オリンピックの前に同級生や保護者らも一緒にZoomで励ましたんです。通信トラブルがありましたが、喜んでくれました」