警察官が阿岐本のほうを見て言った。
「綾瀬から来たと聞いたけど……」
「はい」
「わざわざ綾瀬から、何しに来たの?」
「ご住職のお話をうかがいに参りました」
田代が言う。
「だから言ってるだろう。話をしてるんだって」
「住職。都の排除条例では、暴力団と交流することもアウトなんですよ。宗教法人なんだから、気をつけてもらわないと……」
「この人たちは、ここで別に悪いことをしているわけじゃないよ。放っておいてくれ」
「そうはいかないんです。暴対法という法律がある以上、私らちゃんと対処しないと……」
田代の反論を待たずに、警察官は阿岐本に向かって言った。
「ちょっと質問させてもらいますよ」
「何でしょう?」
「住職の話を聞きにきたと言ったね?」
「はい」
「この西量寺のことを、どうやって知ったの?」
「ここにいる日村が、駒吉神社の神主さんから教わりました」
「駒吉神社の神主? 大木さんだね?」
警察官が日村を見たので、日村は「はい」とこたえた。