日村に気づくと彼は言った。
「おや、あなたは昨日の……」
「今日はうちの代表といっしょなんですが……」
 大木が阿岐本のほうを見た。阿岐本が頭を下げて名乗ると、大木も丁寧に礼を返した。
 阿岐本が言った。
「多嘉原会長から、露店の件を聞きまして、詳しくお話をうかがおうと、やってきたのですが……」
「テキヤを入れてくれと言われても、私にはどうすることもできませんよ。町内会の決定ですので……」
「それは重々承知しております。いえね、私も今さらテキヤをどうこうできると思っちゃおりません。ただ、事情を詳しく知りたいわけでして……」
「昨日、そちらの方にお話ししましたよ」
「日村からおおよそのことは聞いております。ただ、どうしても直接お話がうかがいたいと思いまして」
「そういうことでしたら、こちらへどうぞ」
 昨日と同様に、社務所に案内された。