ソファに腰を下ろすと、阿岐本が言った。
「こうしてお札やお守りに囲まれていると、神妙な気持ちになりますね」
「ああ……。お守りに霊力なんてありませんけど、そういうお気持ちが大切なんですね」
「え……。霊力がない?」
「そりゃそうです。そんなもの、内職の方が作っているんですよ」
「お札も?」
「ええ。業者がおりますから……」
「それでも、魂とかお入れになるんじゃないですか?」
「魂を入れるのは仏教です」
「でも、ご祈祷はなさるんでしょう?」
「私が祈祷してもしょうがありません。皆様がお札を見てご祈祷なさることが大切なんです」
「はあ……。本質はそこなんですね」
「そうです」