寝室と水回りの動線

寝室と水回りを近くにまとめることで、女性は圧倒的に暮らしやすくなります。かつて私は、6年ほどバンコクで暮らしていたのですが、当時住んでいた欧米人向けの住宅は、各個室に洗面所とバスルーム、クローゼットがついており、身支度の一切がそこで完結しました。実際に住んでみると、これは実に快適です。

もちろん、日本は欧米に比べて住宅面積が小さいですから、各人がバスルームや洗面所を持つことは現実的ではありません。結果、必ず家族の共有スペースになりますが、洗面所に主寝室から入れるようにすることで、欧米スタイルに近づけることができると気づきました。

以来、設計事務所を立ち上げて20年、多くの方にこの「ウォークスルー」のプランを提案しています。これを応用して、妻側の寝室と洗面所をつなげるのもよい方法です。

洗面所やバスルームが1階、寝室が2階に分かれていて、大きなリフォームができない方は、2階の階段のつき当たりや廊下の一角に洗面コーナーを設けるだけで、圧倒的に身支度がラクになります。

●Cさん宅の場合
●Cさん宅の場合●

子ども部屋をなくし、夫婦の寝室を広げた。子どもが帰ってきた時は、リビングに接した小ぶりな和室を使えるようにしている。夫婦の寝室は引き戸で仕切られているだけなので、写真左手の扉から出入りできるのだが、あえて右手の洗面所から妻の寝室への動線も別に確保している。