衣装からもらう力って大きい

海外に行ったときは、ショーを見ることが私にとってマストなのですが、もう一つ必ず行くのは生地屋さん。私はショーの時のドレスを大抵自分でデザインしていています。その時、自分で手に入れた生地を使うことが多いんです。ブロードウェイの衣装として使われることが多いマンハッタンの生地屋さんには、日本では手に入らないド派手でカワイイ生地がたくさん!

今回の新曲「まぼろしザ・ワールド」に登場するピンクのスパンコールのスーツも、私がデザインして、ニューヨークでゲットしてきた布地を使って、作っていただいた物です。

着る物って、自分にパワーをくれるものだと私は思っています。子どもの時は親から与えられた洋服を身につけていますよね。年齢を重ねるにつれて、自分で選んでいかなくてはいけないし、そして社会からどう見られるかとか、たくさんの制約がかかっていく。でも「自分が着たいものを着る」と元気が出るし、みんながそう思える社会の方がいい。私はいつからか殻を破ってきました。誰かが着ているものを羨ましいな、と思うことのない人生がいいと思います。

私は小さい頃、「大西賢示(*戸籍上の名前)」という男の子として振る舞わなくちゃいけないと思っていて、女の子の格好ができないことが本当に辛かった。黒いランドセルより赤いランドセルが良かったし、ポニーテールをしたりやヒラヒラのスカートを履いたりしたかった。今でも、私の中では12歳の女の子の気持ちがチラつくんです。その頃にしたかったことを、思う存分やり遂げたい。私はテレビを見て、可愛いアイドルやお笑いの世界の人たちにすごく慰められたし、憧れて勇気をもらったんです。

「今でも12歳の女の子の気持ちがチラつく。その頃にしたかったことを、思う存分やり遂げたい」(本社◎奥西義和)