「こちらは、綾瀬からいらした阿岐本さんと日村さんだ。駒吉神社について、何か話を聞きたいとおっしゃっている」
 すると、五十代と見える白髪の男性が言った。
「駒吉神社だって……。もしかしたら、テキヤのことじゃないのか?」
 田代が言った。
「この方は、河合忠(かわいただし)さんとおっしゃいます。アパートを経営していらっしゃいます」
 阿岐本が言った。
「よろしくお願いします。ええ、そのことについても、ぜひうかがいたいと思っています」
 別の一人が言った。
「田代さん。こんなのだまし討ちじゃないか。話の相手がこういう人たちだなんて、聞いてないよ」
 田代はかまわずに言った。
「こちらは、山科孝弘(やましなたかひろ)さん。会社員でしたが、今は定年退職されております」
 阿岐本が再び頭を下げる。
「よろしくお願いいたします」
 河合が田代に言った。
「山科さんが言うとおり、どうやら俺たちはだまされたようだな。警察を呼ぶぞ」
 田代が言った。
「大人げないな。話をしたいと言っている相手に対して、警察を呼ぶってのはどういうことだい」
「だって、この人たちは……」
「だから、私の知り合いだと言ってるでしょう」