婦人公論《更年期》ヒストリー

『婦人公論』(1970年5月号)
過去の『婦人公論』には、更年期がテーマの連載が数多く掲載されていました。前回紹介した工藤美代子さんの「快楽」のほかにも話題作が生まれています
佐藤愛子「その時がきた」(1970年5月号)

 

女性の戸惑いや懊悩を描く

1970年5月号より連載が始まった佐藤愛子さんの小説「その時がきた」は、45歳の美容整形外科医の女性が主人公。

年齢や見た目にとらわれている患者を軽蔑していた主人公が、仕事や家族との関係に満たされぬ日々のなか、若い男性医師に激しく惹かれていき……。

彼女自身もまた加齢への不安に取りつかれるという物語はドラマ化もされ、大きな話題を呼びました。

石坂晴海「脱コウネンキ宣言」(2000年9月22日号)

2000年代に入るとノンフィクション作家の石坂晴海さんによる「脱コウネンキ宣言」(2000年9月22日号)が始まります。更年期の知識と体調の波を乗り越える知恵を身に付け、ネガティブなイメージを払拭しようという企画。

インターネットの掲示板で広く意見を募り、その結果を雑誌で発表するという試みも当時は斬新でした。

さらに11年1月22日号からは伊藤比呂美さんの「漢(おんな)である」がスタート。更年期まっただなかの伊藤さんが日常を赤裸々に綴るエッセイは、性や肉体感覚に深く根差した表現を続ける詩人ならでは。のちに『閉経記』として単行本化されました。