命の重み、戦いの「痛み」が染みる作品
主人公マキシマスは兵士たちにも尊敬され、当時の皇帝に「時期皇帝になってくれ」と求められます。それに嫉妬した皇帝の息子コモドゥスはなんと父親を殺害、マキシマスに冤罪を着せて追放。更には彼の家族を焼き殺します。
「焼き殺す」ってねえ、現代人の感覚としては信じがたく、子どもと妻の黒焦げ死体を見た時のマキシマスの表情は胸に突き刺さります。
彼は一度は囚われて処刑されかけますが逃げ、今度は奴隷商人に囚われます。そんな失意の中から最強の「奴隷剣闘士」、即ちGladiatorとなっていくんです。ある思いを胸に。
この映画の優れたところは、キャラがみんな立っている事。ラッセル・クロウもさることながら、コモドゥス役のホアキン・フェニックスの嫌っぶり、残酷さ、低俗さは鳥肌もの!
「次に撮影するならナポレオン。主役はホアキン・フェニックス」と、この時既にスコット監督は思っていたのでは? コモドゥスは美貌の皇帝な分、余計に内面の醜さが浮き上がり、主演のラッセル・クロウを食う勢いで、「皇帝コモドゥス」が焼き付きました。
繰り返される格闘技で闘う戦士たちもそれぞれ「人生」を背負っていて、ただ殺される人なんて一人もいません。殺し合いの前の生活や訓練の中で友情さえ芽生えたりします。それでも殺しあうしかない。そういう命の重み、戦いの「痛み」が染みる作品です。