左から、五社英雄さんの娘で五社プロダクション代表の五社巴さんと、深作欣二さんの息子で、映画監督・演出家の深作健太さん(撮影:大河内 禎)

深作 親父たちの時代は、1カット見ただけでどの監督の作品か明確にわかりましたけど、今の映画はそうした記名性が許されなくなり、淋しく感じますね。

五社 濡れ場を撮るにもコンプライアンスが厳しく求められる時代ですしね。

深作 煙草もダメ、シートベルトも必ずしなきゃ、とかね。だからこそ、読者のみなさんにはそうした縛りのない時代の、親父の映画監督デビュー作『風来坊探偵』(61年)はぜひ見てもらいたい。千葉真一さんが主演のアクション・サスペンス・ミステリ映画です。

五社 私は父の意識が変わってから撮った『鬼龍院~』ですね。そして、父が生きていたら『ゴッドファーザー』みたいな家族劇を撮ってほしかった。

深作 僕は親父に当時の仲間たちとヤクザ映画を撮ってほしかったんですけど、結局最後は、藤原竜也君ら若い世代と仕事をすることを望んだ。それで親父の遺作は、僕の監督デビュー作でもある『バトル・ロワイアル II 鎮魂歌』(2003年)になったわけです。

五社 父も深作さんも、映画監督としてたくさんの方に名前を覚えてもらえてよかったけれど、運命はどう転ぶか本当にわからないとつくづく思います。

深作 一寸先は闇ですよ。(笑)

五社 ホント、そう。でも、『陽暉楼』の台詞じゃないけれど、「レールがある限り汽車は来る。何とかなる!」です。


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